「今日でおまえとの夫婦生活も最後か」
夜、食事をしながら叶仁がぽつりと呟く。

彼、紺野叶仁は年下の幼馴染かつ大企業の御曹司かつあなたの夫――。
半年前、お見合い話にうんざりした叶仁に「半年間だけ、俺と夫婦になってくれない?」ともちかけられ、
書類上だけの結婚をしていたのだ。

部屋は別々、家事も各々、お互い気を遣う必要もなく、仮初の結婚生活は思いのほか楽しかった。
けれどそれも今日までのこと。

「親父には、結婚向いてなかったって言っとくから」
「とりあえず今までお疲れ。まあおまえは気心も知れてるし、一緒に暮らすのも悪くなかったよ」

と、少し寂しそうにする叶仁。そんな彼に「寂しくなっちゃったの?」とからかうあなた。

「ばかっ、そんなわけないだろ」と言いつつ、酒を煽る叶仁。
あなたが思わずよしよし、と頭をなでると、
叶仁はなぜか苛立ったように「おまえのそういうところが――」と言って、部屋に引っ込んでしまう。

最後の日なのに喧嘩してしまい、申し訳なく思ったあなたは、
寝る前に叶仁の部屋を訪れ、さっきはごめんね、とからかったことを謝る。

すると叶仁はいつになく真剣な表情であなたをベッドに引きずり込んで――。
「ほんとにごめんって思ってるなら、体で示してよ」